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スターリンに学べ! -選挙システムを考察する-

イラスト:ぼんぢり

目次

投票を集計する者が全てを決定する

ヨシフ・スターリン。ソビエト連邦の共産主義者。恐怖政治を行った独裁者として有名な人物である。
彼の残した言葉「投票する者は何も決定できない。投票を集計する者が全てを決定する。」は、選挙制度を嘲笑する言葉として、彼の死(1953年)から70年以上の時を経た今もなお、生き続けている。

古今東西、不正開票を疑う声は止むことがない。日本での投票方法は概ね以下の通りである。

  1. 投票所で本人確認を行い、投票用紙を受け取る。
  2. 受け取った投票用紙に候補者名等を記入する。
  3. 記入した投票用紙を投票箱に投入する。
  4. 投票受付時間終了後、投票箱内の投票用紙を集計し、当選者を決定する。

近年、ネット投票を求める声もあるが、個人の筆跡が残る投票用紙が大規模不正抑止に寄与している面もあり、筆者は安易にデジタル化するのは反対の立場である。
しかしながら、デジタル化の恩恵を全て捨て去るほど無欲にもなれない。そこで以下の方法を提案する。

  1. 投票所で本人確認を行い、投票用紙を受け取る。
  2. 受け取った投票用紙に候補者名等を記入する。
  3. 投票用紙を読取機に読ませた後、投票箱に投入する。
    • 記入した投票用紙を読取機でOCRスキャンし、データ(候補者氏名、スキャン画像等)をサーバに送信する。
    • サーバは受信したデータに一意の管理番号を割り当てた後、ハッシュチェーンに記録し、管理番号とハッシュ値等を読取機に返信する。
    • 読取機内で投票用紙裏面にサーバからの返信内容等を印刷し、投票者に返却する。
    • 投票者が返却された投票用紙を投票箱に投入する。
  4. 投票受付時間終了後、データとハッシュチェーンを公開し、整合性確認と投票箱内の投票用紙の集計を行い、当選者を決定する。
    • 投票受付時間終了後、サーバが保持しているデータとハッシュチェーンを公開する。
    • 投票箱内の投票用紙に対し以下の項目の確認と、従来通りの集計を行い当選者を決定する。
      • 投票用紙の表面と裏面に記録された候補者氏名等が同一であること。
      • 投票用紙の裏面に印刷された内容とデータとハッシュチェーンの整合性が保たれていること。
    • 投票者はデータとハッシュチェーンの整合性確認(集計)ができ、自身の票の管理番号を暗記していれば自身の票を確認できる。
図 1. 投票の流れ
図 2. 投票受付時間後に公開されるデータとハッシュチェーン

「投票を集計する者が全てを決定する」のであるならば、投票者全員で数えれば良い。投票者全員が管理番号の暗記ではなく投票用紙裏面のコピーを持ち帰り、公開されたデータとハッシュチェーンで自身の票確認と集計を行う方が好ましいが、投票先を証明できるものを個々人に配布することにより生じるトラブルを回避するため、コピー配布は行わないものとした。

本案は投票の集計を主題においたものであり、本人確認の重要性を失念してはならない。社会のデジタル化を進める上で本人確認は最重要課題といっても過言ではない。本人確認と言えばマイナンバーカードを想定する人も多いだろう。具体案は割愛するが、筆者としてはゼロベースで必要機能を検討し、新規作成することを推奨したい。

尚、本案は原則、1選挙区・複数投票所に1サーバを割り当てて運用する想定である。投票受付時間終了後、速やかに公開するため投票毎にサーバ内にデータを蓄積する都合上、データが時系列順に記録される。複数投票所の本人確認の記録を時系列順に並べることができる状態で運用した場合、投票者の匿名性が著しく低下する恐れがある点に留意が必要である。

本案は主旨をブレなく伝えるために簡素な記述に留め、想定される諸問題・対策等は記述していない。議論が深まることがあれば別途検討する。

ハッシュチェーンとは

ハッシュチェーンはデジタルデータの改ざん検知技術の一つ。理解し易さを考慮し、より単純な改ざん検知技術であるチェックサムを最初に取り上げる。デジタル機器では文字は数値として扱われ、文字列「Red」は「082, 101, 100」として記録される。文字列「Red」の和(加算)は「283」。和を改ざん検知に用いる方法をチェックサムという。チェックサムは和であるため、順番を入れ替えても値は変わらない。

順番も値に反映される様に改善したものをハッシュ関数といい、ハッシュ関数により得られた値をハッシュ値という。行毎にハッシュ値を記録し、鎖の様に列に連ねたものがハッシュチェーンである。

図3.チェックサムをチェーン化した例

最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

信頼を得るには「適切に管理されている」などの言葉ではなく、エビデンスの提示(データ公開)が必要です。選挙制度に手を加えるには政治の力が不可欠ですが、不正開票を政治家自ら率先して口にするのは難しいでしょう。ですから、ネット世論が先導し、政治家が要望に応える形で追随する流れを作る必要があるのではないでしょうか。我が国が偽りの民主主義国家でないのであれば、国民の多数が望めば実現できるはずです。

本稿の案は本ページにリンクを張っていただければ引用OKです。多くの人が話題にすることにより、より良い案が生まれてくることを願っています。
ここ日本で、スターリンを超える日が来ることを信じて。

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