長年、イラストの印刷や日々の文書作成で活躍してくれたブラザーのA4インクジェット複合機「DCP-J963N」(2015年モデル)。しかし、今後のmacOS(Tahoe以降)ではドライバーのサポート終了も見込まれるため、ついに最新の「DCP-J929N」(2025/2026年モデル)へ買い替えを行いました。キヤノンやエプソンなどの同価格帯モデルも検討しましたが、「2万円台」「ADF(自動原稿送り装置)搭載」「イラストに強い染料カラーインク」という3つの条件を満たす機種は、やはりブラザーのこのシリーズがしっくりきます。
今回は、新旧2つの機種が手元にあるので全く同じテストチャート(PDF)を印刷・スキャンし、画質や発色、印刷速度、そして旧モデルから変わった使い勝手を確認してみます。
テストプリントで見る「発色」と「黒」の進化
新旧どちらも同じPC(Mac)から、印刷設定をほぼ同一の「あざやか」に揃えて出力。完成したプリントを新機種(DCP-J929N)のスキャナーで同じ条件で読み込み、比較してみました。
テストチャートのご紹介と感謝
今回の新旧プリンター比較・評価にあたり、「ペンギンtwinker」(どうぶつキャラクター生活応援サイト)様が公開されている「印刷テスト用チャート」を活用させていただきました。

単色・混色のグラデーションや細線の掠れ、白抜き文字の視認性などが非常に分かりやすく整理されており、評価に大変役立ちました。この場を借りて素敵な素材の公開に深謝申し上げます。
印刷結果の比較
結論から言うと、発色・再現性・黒の引き締まり感が段違いに向上しています。

DCP-J929Nのスキャナーで印刷結果を取り込みました。

PDFから直接JPEG画像を生成しました。印刷結果の確認に使うリファレンスです。

DCP-J929Nのスキャナーで印刷結果を取り込みました。
黒(K)の締まりと立体感の向上
- DCP-J963N: 単色ブラックや暗部の混色において、全体的に黒が浅く、ややグレー寄りの白けた印象がありました。
- DCP-J929N: K100%が非常に力強く深く落ち込んでいます。背景が黒の「白抜き文字」のエリアでもコントラストがくっきりしており、イラストの影や輪郭線の引き締まり感が格段にアップしました。
カラーの発色と高濃度域の表現力
シアン(C)・マゼンダ(M)・イエロー(Y)の単色100%パッチはもちろん、2色混色(特に青系のCMや緑系のCY)の鮮やかさが大幅に向上。デジタルデータの持つトーンにより近い、透明感と伸びのある発色が得られています。
暗部階調の残し方
「各色+黒」の混色エリア(CK / MK / YK)を見ると、旧機種では暗い色合いで潰れがちだったグラデーションが、新機種では暗さの中にも元の色味が残り、滑らかな階調が維持されています。
「給紙〜排紙」までの爆速化が快適すぎる
画質以上に日常のストレスを減らしてくれたのが印刷速度の進化です。スペック上のモノクロ印刷速度は「約12ipm ➔ 約17ipm」への向上ですが、実際に使ってみるとファーストプリントのレスポンスや給紙・排紙のメカニズムが洗練されており、黒単色の印刷なら「倍近いスピード」に感じられるほどの爆速化を果たしています。1枚もののラフや書類を印刷する際も「待たされている感」がなく、作業のテンポが途切れないのは大きなメリットです。
旧機種ユーザーが気づいた「割り切られた仕様」
全体的なパフォーマンスは大満足ですが、長年DCP-J963Nを使ってきたからこそ感じる「構造の簡略化・割り切り」もあります。
給紙トレイ周りの構造簡略化
旧モデルにあったトレイ蓋の給紙ガイド(スライド部)が廃止されました。ハガキや光沢紙などの特殊用紙をちょっと刷りたい場合でも、その都度メインの給紙トレイを引き出し、A4用紙と入れ替える必要があります。特殊用紙を頻繁に使い分ける人にとっては少し手間に感じられるポイントです。(※CD/DVDレーベル印刷トレイも廃止されています)私としては非常に残念なポイントでした。
有線LANポートの廃止
ネットワーク接続はWi-Fi(無線LAN)またはUSB直結のみとなりました。 「PCと1対1で繋ぐ層(USB)」か「家中・スマホから飛ばす層(Wi-Fi)」への二極化に合わせた仕様変更だと感じます。無線でも十分安定して大容量データを送れますが、有線LAN派の方は注意が必要です。
USBメディア機能とPDFダイレクト印刷の壁
SDカードスロットが廃止され、外部メディアはUSBメモリのみ対応となりました。 また、「スキャン時はPDF保存できるのに、USBメモリからのダイレクト印刷は画像(JPEG等)のみでPDF非対応」という仕様はそのまま引き継がれています。自治会や地域活動など、PCレスでUSBから直接資料(PDF)を刷りたい運用を考えている場合は惜しいポイントです。
まとめ:買い替える価値はある?
| 項目 | 旧モデル(DCP-J963N) | 新モデル(DCP-J929N) | 評価 |
| 黒の濃さ | やや浅い・グレー寄り | 深く力強い黒 | 大幅向上 |
| カラー発色 | 標準的 | 鮮やかで階調豊か | 大幅向上 |
| 印刷速度 | 普通 | 給紙〜排紙まで圧倒的に速い | 体感倍速 |
| 用紙取り回し | 手差し・蓋ガイドあり | トレイ内入れ替えのみ | 注意(手間増) |
| 接続方法 | 有線LAN / Wi-Fi / USB | Wi-Fi / USBのみ | 割り切り |
💡 結論
「トレイの用紙入れ替え」や「PDFダイレクト印刷非対応」といった運用の割り切りはあるものの、「イラストや写真の発色・黒の引き締まり」および「印刷スピードの快適さ」は10年の進化を圧倒的に実感できるレベルです。簡易版ですがADF機能搭載も大きな大きなセールスポイントです(あると無いとでは大違いです、地味に便利)。長期間安心して使いたい方や、鮮やかなイラスト表現と日常使いのスピード感を両立したい方には、間違いなくおすすめできる一台です!
おまけ情報:同価格帯(2万円前後)のインクカートリッジ価格&コスト比較表
インクも比較的お安めでコスパもなかなか良いです。1枚あたりの印刷コストだけでなく、「インクカートリッジ1個(または1セット)を買うときの出しやすさ」もブラザーの強みだなぁと感じます。4色セットで4,000円強、カラー単色なら1本1,000円を切る価格(約930円)で購入できるため、特定のカラーがなくなった際の買い足しハードルが最も低く抑えられています。
| 機種名 | インクセット価格(税込) | 単体1個あたりの価格(税込) | A4カラー印刷コスト |
| ブラザー DCP-J929N | 約4,150円(4色パック) | 黒:約1,430円 / カラー各色:約930円 | 約11.4円 |
| キヤノン PIXUS TS5630 | 約4,610円(黒+カラー計) | 黒:約2,190円 / カラー3色一体型:約2,420円 | 約21.2円 |
| エプソン EW-M530F | 約4,840円(4色パック) | 黒:約1,660円 / カラー各色:約1,180円 | 約15.4円 |
| エプソン EP-717A | 約6,080円(6色パック) | 各色:約1,050円〜1,120円 | 約19.8円 |
※価格はメーカー直販価格・大手量販店の実売標準価格(税込)に基づきます。




コメント